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Neil Halstead [UK]


Palindrome Hunches

Palindrome Hunches

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Republic
  • 発売日: 2012/09/11
  • メディア: CD


   この秋、最大の収穫ともいえる偉大な SSW アルバムに出会いました。

   もとは、1980 年代の終わりから活動していたイギリスのオルタナティブ系バンド
Slowdive の主要メンバーだったという Neil Halstead の最新作は、清楚で気品の
あるアンティークな家具のような深い味わいに満ちた傑作でした。

  Neil Halstead のことは詳しく知らないまま、CD ショップの片隅で発見したこの
アルバムは、ペーパースリーブのジャケットの手触りが、そのままサウンドに結びついた
ような感触です。 ギターとボーカルの Neil を核としながら、曲によっては Paul Whitty
の淡いピアノ、Ben Smith の絹のようなバイオリンなどが、風景画の背景を描くかのよう
に輪郭を染め上げていきます。 そのなかで、消え去ってしまいそうな、はかない Neil
の歌声が、秋風のように耳の脇を通り抜け、この季節がゆえにもたらされる理由もない
物悲しさに包まれていきます。

  なんという空間でしょう。 始まりも終わりもない短編小説を呼んでいるかのような、
時間が静かに流れ、しらずしらずに過ぎ去って行きました。

  個々の楽曲が淡々と進んでいくために、何曲目がどうだとか、そんなことはこの
アルバムにはふさわしくないように思います。 
  ただ、あまりにもヒントがないといけないので、たとえば Duncan Browne の1969
年の名作「Give Me Take You」を持っている方ならば、間違いなくお薦めできる作品
です。 Nick Drake ファンにも向いていると思います。 近年では、このブログでも
取り上げたことのある Boo Hewerdine や David Lewis のサウンドに同じエッセンス
を感じます。 アメリカではなくあくまでも英国的ですね。

  最後にひとつだけコメントを。
このアルバムに関してのアマゾンのユーザーレビューがひとつありました。 このような
マイナーな作品に対してレビューを書かれるのはとても良いことだと思いますが、その
タイトルが「需要はあるのか」というのはちょっと残念でした。 また、「この手のカントリー
が好きな人なら...」という表現がありますが、それは誤解ですね。
  この音楽はカントリーではありません。 フォークもしくは SSW アルバムです。
さらに言うならば、英国特有のトラッド感もそれほど強くありません。 したがって、僕は
このレビューに対して「参考にならない」のボタンを押しておきました。



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