Peter Broderick [USA]
昨日、市ヶ谷で Peter Broderick の来日コンサートを見に行ってきました。
予想通りの素晴らしさに、いまだに興奮を抑えきれません。 ルーテル市ヶ谷教会の
ホールは、パイプオルガンが設置されているなど、クラシック音楽向きのもの。 普段は
ポピュラー・ミュージックでの利用は少ないようですが、この会場がまた Peter Broderick
の研ぎ澄まされた音にはぴったりで、素晴らしい音響も含めて、非常に心に残る音楽
体験となりました。
コンサートはゲストの Brigid Mae Power という清楚な女性 SSW でスタート。
ギターの弦を新しくしたばかりということで、チューニングが上手くできずに、Peter に
お願いしたりと、アマチュアな感じもしましたが、その美しい声にはうっとりしてしまいま
した。 5 歳の男の子の母親ということですが、今度アルバムをじっくり聞いてみたい
と思います。 2曲目に演奏した曲では、Peter をバックコーラスに迎えたのですが、
この曲が秀逸でした。
Peter Broderick のほうは、予想通りピアノの弾き語り。 ボーカルパートが少
ないために、どこで歌唱が始まるのか、あるいはそもそも無いのかが読みづらい展開
でした。 そんななか、一つ一つの音を大事にする演奏姿勢には、神々しいオーラを
感じ、咳一つできないような緊張感に包まれてコンサートは進行。 途中で、Peter が
客席にまで歩みよって、独唱を続ける場面があったり、Steinways & Sons のグランド
ピアノの中に身を乗り出して歌唱するなど、独特のパフォーマンスにも心打たれてしま
いました。
アンコールのラストでは、このブログでも 2011 年 3 月に取り上げた名盤「How
They Are」のラストを締めくくる名曲「Hello to Nils」を演奏。 もっとも聴きたかった曲
だけに鳥肌モノでした。 真のミュージシャン、心を震わせる音楽とは、こういうもの
なのだと改めて実感した夜となりました。
さて、今日紹介するのは、そんな Peter Broderick が2015年にリリースした
バンドスタイルのアルバム。 ドラムスやベースが入り、曲によってはストリングスや
管楽器も参加しており、曲調もバラエティに富んだものとなっています。 耽美的で、
抑制のきいた孤独感あふれるスタイルのPeter Broderick を期待して向かい合うと、
ちょっと意外に感じてしまうかもしれません。 とはいえ、やはり個々のサウンドの
出来栄えはしっかりしており、ソロではない彼の姿も見てみたくなるような、そんな
アルバムです。
はやくも次の来日を期待しつつ、間違いなく行こうと思っています。
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